中東情勢の緊張などで原油価格が大きく上昇した場合、新聞業界は影響を受けやすい業界です。
新聞は「印刷・輸送・配達」という物流に依存する産業であり、燃料費の上昇が直接コストに跳ね返るためです。
さらに現在、関東でも夕刊部数の減少が進んでおり、燃料費の上昇は夕刊配達の縮小を加速させる要因にもなり得えます。
■第一次オイルショック時のガソリン価格
第一次オイルショック(1973〜1974年)のころ、日本のガソリン価格は次のように推移しました。
【オイルショック前】
1972〜1973年頃
約40〜50円/L
当時はモータリゼーションの初期で、現在と比べるとかなり安い価格だった。
【オイルショック後(1974年前後)】
約70〜80円/L
つまり、ガソリン価格は約1.5〜2倍まで上昇した。
原油価格も
1バレル 約3ドル → 約11ドル台
まで急騰し、世界的なエネルギー危機となった。
■当時の社会の状況
ガソリン不足も起き、日本では次のような措置が取られました。
・ガソリンスタンドの日曜休業
・給油量10L制限
・ネオンサイン消灯
・テレビの深夜放送休止
・電車の終電繰り上げ
■新聞業界への影響
このオイルショックの際、新聞業界にも影響が及びました。
・紙不足による雑誌・書籍のページ削減
・印刷コスト上昇
紙媒体は、エネルギー危機の影響を受けやすい産業です。
■今後想定される影響
①短期的影響(数か月〜1年)
【新聞販売店】
・配達燃料費の増加
ガソリン170円 → 300円想定
月3〜5万円程度の負担増(中規模店)
・朝刊配達コストの上昇
バイク・軽自動車の燃料費増
・夕刊配達の負担増
1日2回配達による燃料コスト増
・販売店利益の圧迫
購読料はすぐに値上げできないため利益率が低下
【新聞社】
・印刷工場から販売店までの輸送費増
トラック燃料費上昇
・新聞用紙、インク価格の上昇
製紙はエネルギー多消費産業
・紙新聞の製造コスト上昇
②現在すでに起きている変化(夕刊の減少)
【関東でも夕刊部数が減少】
・共働き世帯の増加
・帰宅時間の遅れ
・スマートフォンニュースの普及
その結果、夕刊を読む習慣は弱まりつつあります。
【夕刊配達の採算悪化】
夕刊は
・部数が少ない
・配達回数が増える
・人件費がかかる
つまり、物流効率が悪い媒体といえます。
③原油高が夕刊縮小を加速する可能性
燃料価格が上昇すると
朝刊+夕刊
→ 1日2回配達
の負担が大きくなる。
販売店の現場では
・人件費
・燃料費
・配達時間
すべてが増えるため、夕刊維持の採算はさらに悪化する。
④中長期的影響(1〜5年)
【新聞販売店】
・夕刊配達地域の縮小
・販売店統合
・配達エリア拡大
・朝刊のみ配達地域の増加
現在、関東でも千葉県はセット版エリアですが、夕刊部数は減少して、千葉県の臨配依頼の9割以上が朝刊のみとなっています。
この流れが続けば、今後首都圏でも
・埼玉県
・神奈川県
・東京都
などで夕刊部数の減少が進み、朝刊中心の配達体制へ移行する地域が広がる可能性があり、原油価格の上昇は、その流れをさらに早める可能性があります。
また配達コストが高い臨配業界にも大きな影響があると考えています。

